日々持ち歩くことの多いお財布。
バッグはいくつも持っているけれど、お財布は基本的にひとつだけ、という方も多いのではないでしょうか。
そんなお財布を買い替える時には、
「長く使い続けられる財布を選びたい」
「素材と仕立てにこだわった財布を愛用したい」
「最高品質の財布をリーズナブルな価格で手に入れたい」
など、色々考えてしまうことも。
そのような方には、 丁寧な仕立てを誇る「日本製の財布」がおすすめです。
財布の寿命は基本的に2~3年と言われていますが、しっかりした作りの財布であれば、 5年、10年と愛用できますし、長く使うほど、 自分の手に馴染む質感や色合いへと変わる楽しみもあります。
こちらの記事では、日本の革工房で作られた財布の特徴や、おすすめの革財布をブランド毎に紹介しております。
また、実際に財布を作っている職人のコメントも紹介していますので、良かったら目を通してみてくださいね。
この記事を読んだ方が、長く使いたいと思える革財布に出会える。そのお手伝いができましたら幸いです。
ここが違う 日本製の革財布
日本の革工房で、日本の職人がひとつひとつ仕立てる財布。
小さなものにこそ、細部にわたる気配り、技術の高さが求められます。
何十年と鍛錬を積み重ねてきた職人が丹念に作り続ける──。
その技術の高さについて分かる、日本の伝統技法をご紹介します。
長く使える仕立ての工夫。日本の“伝統技法”
財布の良しあしを左右する「ステッチ」
財布の良しあしを決めるステッチ(縫製)の技術。
革の硬さによって、ミシン針や糸の太さが決まってきますので、ひとつでも間違ったものを使えば、ガタガタになってしまいます。
波打つことなく真っすぐに、曲線にもぴたりと合わせたステッチづかいは、日本の手仕事ならではの技術と言えるでしょう。
革の断面を美しく仕上げる「コバ塗り」
コバとは、カットした革の切り口(断面)のこと。
そのままにしておくと繊維がほつれたり、割れたりしてしまうので専用の塗料を使用し、強度を保つ技術が「コバ塗り」です。
塗る前にはヤスリでコバの細かな凸凹を滑らかに整えなければ断面が美しくなりませんし、塗料が少しでもはみ出すとすべてが台無しになってしまうので、このひと手間に加えた「ひと塗り(実際には何回も塗料を塗り重ねます)」がコツコツとした作業を得意とする日本職人の腕の見せどころです。
シンプルな財布ほど際立つ「捻ひき」
財布の縁に、熱いコテ(捻)を使って溝を引くことで革に熱と圧力をかけ、引き締める技法です。
重ねた革が熱でしっかりとくっつくため、丈夫で長持ちしやすくなります。
また、表情に陰影が加わり、洗練された印象を与えますので、シンプルな財布ほど魅力を楽しめる技法となります。
これ以外にも日本職人ならではの技法は沢山ありますが、一貫しているのは「長く使えるための財布づくりのためには、手間ひまを惜しまない」という姿勢。
ひとつの財布に対して、それぞれの技術を得意とする職人が、情熱を注ぐことで“妥協のない、最高品質の財布”が出来ると言えるでしょう。
ずっと使いたくなる、レザーの選び方
ひとくちに「革財布」といっても、その素材は様々。
使うほどに愛着が増す、そんな財布を選びたいですよね。
手ざわりの良さを重視するのか、機能性を重視するのかでも選び方が変わります。
ここでは、日本製の財布と相性の良い革をご紹介いたします。
光沢を楽しみたいなら「コードバン」
艶やかな光沢から、「革の王様」「革のダイヤモンド」とも言われるコードバンは、使い込むとより一層美しい輝きを放つことで人気が高い素材。
馬の臀部からとれる貴重な革で、一頭の馬からとれる量が限られているため希少性が高く、値段も高いものが多いですが、耐久性も牛革の3倍と優れていますので長く使いたい、光沢が好きな方には非常におすすめです。
ただし、水に弱いという面もありますので、濡れた場合はすぐに乾いた布で拭くようにしましょう。
ガシガシ使いたいなら「ブライドルレザー」
もともと、乗馬に使う馬具のために作られた革ですので、耐久性はピカイチ。
何度もロウを塗り込み繊維が頑丈になっているので、傷がつきにくい素材です。
また、水にも強いため、急な雨でもポケットに入れたままにしておける安心感があります。
表面は、白い粉が吹いているように見えますが、これはロウが染み出したもの。
「ブルーム」と呼ばれ、ブライドルレザーならではの質感を味わうことができます。
使っていくうちにブルームが取れていき、深みのある色合いを楽しめるのも魅力です。
使い始めの頃は、ブルームを小まめにふき取ることが長持ちのコツ。
また、定期的にレザークリームを塗ると、しなやかな手触りを保つことができます。
ふっくらした手ざわりを楽しむなら「シボ革」
バッグやベルトなど、革製品に最も利用されている牛革。
その中でもしなやかさを極限に引き出し、ふっくらと仕立てた「シボ革」は手に馴染みやすく、温かい印象を与える素材です。
革を仕上げる時に、オイルを含ませ、揉みこむことで、ずっと触っていたくなるしっとりとした柔らかさを持つ革となりました。
流通量も多いことから、比較的手ごろな値段で手に入ります。
ただし、やはり水はあまり得意としないので、濡れたら拭く、を徹底しましょう。
おすすめの革財布5選
ここからは、皇室御用達ブランドの財布職人「デンさん」、一級のクロコ財布職人「クロさん」とともにおすすめの日本製の財布をご紹介いたします。
今回監修に協力頂いた職人さん
皇室御用達ブランド「傳浜野」の革職人。
財布を作るうえでいかに“表情のある革”を使いこなせるかを人生の使命としており、良い商品を見ると革のことはもちろん、ステッチの色合い、裁縫の細やかさ、コバの色の相性など語るのが好き。
普段は寡黙なので、商品紹介以外のセリフシーンではうなずいてるだけ。(うんうん)
創業70年以上老舗レザーブランド専属の財布職人。
クロコダイルを中心に、あらゆる良質な革を25年以上扱い、精緻な手仕事が光る。
好きな工程は革を磨き輝かせること。
日本製の大定番、吉田カバンPORTERの人気No.1。安心して長く愛用出来る「PORTER(ポーター)」 CURRENT COIN & PASS CASE
CURRENT COIN & PASS CASE
参考価格:12,000円(税抜)
素 材:牛ステア(コンビネーション鞣し)(エンボス加工)
カラー:ブラック・ネイビー・スカイブルー
サイズ:横11.0×縦7.5×幅2.0cm
重量:70g
※2020年3月1日時点の情報です。
日本の老舗鞄メーカーと言えば真っ先に名前が思い浮かぶ1906年創業の吉田カバン。
吉田カバンのオリジナルブランドPORTER(ポーター)の人気アイテムがCURRENT(カレント)シリーズのコインケースです。
エンボス加工を施したしなやかな風合いの革で仕立てた丈夫なつくりのコインケースは、年齢を問わずギフトにも最適。
高品質かつ1万円台前半というリーズナブルな価格帯は、他では中々真似の出来ない流石の逸品と言えます。
牛ステアの表面に、凪のようなしなやかな型押しが美しく、レザーとしても丈夫だから、つくりの良さと相まって安心して使えるんだよね。これをこの値段でつくってしまうんだから、流石の吉田カバンさんだなぁと思いますよ本当に。
綺麗な色がもっと好きになる。イタリア製レザーで仕立てた使いやすい「HerSchedul(ハースケジュール)」 Chelletアモーレ
Chelletアモーレ
参考価格:27,500円(税込)
素 材:牛革
カラー:12色
サイズ:横20.0×縦9.5cm
重量:140g
※2022年7月29日時点の情報です。
老舗から生まれたWEB限定ブランド「HerSchedule(ハースケジュール)」の人気L字ファスナーロングウォレットシリーズChellet(チェレット)。
イタリア製の上質なレザーを日本の職人が丁寧に仕立てることで、端正ながらもどこか柔らかな佇まいのあるお財布に仕上がっています。
中をサッと見渡せるL字ファスナーの使いやすさが魅力です。
チェレットの驚くほどくったり柔らかい質感は、下地に良いレザーを使っているから出せるんですね。
それでいてしっかりしたつくりに仕上がっていて、これが出来る職人は多くはないんじゃないかと思います。
普通の財布のつくりともまた発想が違うから、バッグ職人から生まれたというのも納得です。
究極のコードバンがここに。「土屋鞄」BELCHORD 二折札入れ
BELCHORD(ベルコード)二折札入れ
参考価格:47,000円(税抜)
素 材:コードバン(馬革)
カラー:ブラック・ブラウン
サイズ:横11.1×縦9.0×マチ2.5cm
重量:70g
※2020年3月1日時点の情報です。
良質な革素材にこだわる土屋鞄の、コードバン二つ折財布。
透明感溢れるコードバンは、高級の中の高級の証です。
ベーシックかつエレガントな紳士のための上級アイテムを選ぶには間違いなしのブランドと言えます。
ひと口にコードバンと言っても風合いはモノによってけっこう違ってくるんだよね。
土屋さんの「水染めコードバン」は、この透明感を出すために塗料選びから染め上げ方までかなりこだわっているのが見て取れる。
ファッション上級者、革好きな人達が愛してやまない土屋さんまさにここにありって感じ。
極上のブライドルレザーを手にするなら。「COCOMEISTER(ココマイスター)」 ブライドル・グランドウォレット
ブライドル・グランドウォレット
参考価格:32,800円(税込)
素 材:ブライドルレザー
カラー:ブラック・ブラウン・グリーン・ネイビー他
サイズ:横10.0×縦19.5×幅2.3cm
重量:190g
※2020年3月1日時点の情報です。
欧米文化と日本製の融合によって独自の芸術性の高さを体現しているCOCOMEISTER(ココマイスター)を代表する、ブライドルレザーの長財布。
イギリスで1000年の歴史を誇るブライドルレザーの中でも選りすぐりの品質のものを選んだ高級革を熟練の職人の手仕事によって仕上げています。
使い込む程に味の出てくる表情の変化も愉しみな、モダンさと伝統を感じさせる確かな風格がある逸品です。
元々は貴族の高級馬具に使われてきたブライドルレザーは、いわゆる「硬い」皮革なんですよ。
これを流線型の財布にしっかりと仕立てることは、決して簡単ではありません。
ブライドルレザーと言えば日本ではココマイスターと言われつつあるぐらいで、気品と温かみのどちらも感じさせるブライドルレザーの奥深さをココマイスターで知った、と言う人もたくさんいそうですよね。
最高級のクロコの質感を。「池田工芸」クロコダイル・ロングウォレット
クロコダイル・ロングウォレット
参考価格:120,000円(税抜)
素 材:スモールクロコダイル
カラー:ブラック
サイズ:横19.0×縦11.0×幅2.5cm
重量:230g
※2020年3月1日時点の情報です。
創業70年のクロコダイル専門ブランド池田工芸の長財布。
クロコダイルの中でも最高級のスモールクロコダイルで仕立てた財布の表面の膨らみと光沢感は圧巻。
このクオリティのクロコを12万円で手に入れられるというのは、むしろお手頃と言えるのかもしれません。
池田さんのクロコを見た時、どっひゃーと度肝を抜かしたよね。
クロコから“粒感”を感じるって、あんまりイメージないでしょう?本物の中の本物だよ、これは。
丁寧に磨かれていて艶感もすごいんだけど、ここまで良いクロコならそりゃあしっかり磨きたくなるだろうなぁって思うよ。
まとめ
日本の職人技が光る革財布は、伝統と様式美を感じさせ、持ち歩く程に愛着が湧いてきそうですよね。
革のこと、職人の意匠についての新しい発見とともに、お気に入りの革財布に出会えるきっかけとなれたならば、嬉しく思います。