540度、それは透明なクリスタルが溶解し、
真っ赤な渦に変わりゆく温度。
これほどまでに、「赤」を表現できた香水があったでしょうか。
インスピレーションの美しさや香りの完成度が非常に高く、多くの人の心を捉えた香水。
しかし、それは自分自身が最も苦手とする香りでもあります。
今回は、Maison Francis Kurkdjian(メゾンフランシスクルジャン)から、ガラスの溶解に着想を得た「Bacarat Rouge 540(バカラルージュ540)」をご紹介いたします。
ビジュアル、香料、香り…全てにおいて最高のクオリティを追求する仏フレグランスメゾン「Maison Francis Kurkdjian(メゾンフランシスクルジャン)」とは
トレンディな香りをユニークな表現で。フランソワコティ賞も受賞した調香師フランシスクルジャンの名を冠したブランド
Maison Francis Kurkdjian(メゾンフランシスクルジャン)は、2009年にフランスで生まれた、マーク・チャヤとフランシス・クルジャンによって創設されたフレグランスメゾン。
2017年にはLVMHグループに売却され、その一員となります。
香りのワードローブ化を目指し、どんな時でも着ることのできるシャツのようなコレクションを始め、プレタポルテ、イブニングドレス、オートクチュールとラインナップは多岐にわたります。
今回ご紹介するバカラルージュは、ジャンルで言うとイブニングドレス。
ドレスアップしたシーンにとてもよく似合う香水です。
「最高の品質を見つけるまで調香に加えることができない香料さえ存在する」という厳しい調香基準にうかがえるように、全てにおいて最高のクオリティを追求するクルジャンらしさを体現した香水だと思います。
Maison Francis Kurkdjianはこちらから
画像出典:Maison Francis Kurkdjian 公式サイト
・様々な顔を持つ現代人に合わせて、香りのワードローブ化を目指したブランド
バカラルージュが苦手なわけ
フルーティー、フローラル、グルマン…
香りの「甘さ」に対する問いは、香水において永遠の難題。
人によって得意な甘さと苦手な甘さが存在するのはもちろん、認識できる甘さの範囲も異なるからです。
そんな中で、バカラルージュはどこに位置するかというと、これがまた難しい。
使われている香料は、トップノートにジャスミンとサフラン、ミドルにアンバーグリス(マッコウクジラの腸にできる結石)、ラストにシダーウッドとモミ。
これだけ聞くとフローラルウッディ香水だと思う人も多いかもしれないのですが、初めて嗅いだ印象は完全にグルマン。
まるで綿菓子のような、砂糖を煮詰めたような濃厚さが、私は特に苦手です。
少しコクのあるようなジャスミンにサフランが組み合わさったことでこうなるのかもしれません。
動物性香料であるアンバーグリスの甘さもあいまって、どれだけ時間が経っても甘さから逃れられない感覚が自分には合わないなと感じた香水です。
また、ラストノートにウッディさが足りないことも要因の一つ。
シダーウッドとモミの要素よりも、砂糖のような甘さの方が最後までずっと強く残る印象があり、どうしても酔いそうになってしまうのです。
自分がどういう甘さが好きで、苦手なのか知りたい方は、一度嗅いでみるといいかもしれません。
甘さのバロメーターとして、非常にわかりやすい香水でもあると思います。
540度で溶け合うクリスタルと純金をイメージした香り。
メゾンバカラの誕生250周年記念を祝して生まれた「BACCARAT ROUGE 540(バカラルージュ540)」
Maison Francis Kurkdjian(メゾンフランシスクルジャン) BACCARAT ROUGE 540(バカラルージュ540)
赤を想起させる香料は何も入っていないのに、煮詰めた砂糖がカラメルに変化しつつある時のようなジューシーで濃厚な「赤」を思わせる香りです。
ジャスミンにサフラン、アンバーグリス、シダーウッドとモミから連想される、フローラルさとは違ったギャップを感じる香りが特徴的。
参考価格:43,890円税込
※2024年4月2日時点の情報です。
最後に
画像出典:Maison Francis Kurkdjian 公式サイト
Maison Francis Kurkdjian(メゾンフランシスクルジャン)から、バカラルージュをご紹介いたしました。
今回は自分自身が苦手だと感じる香水の紹介となりましたが、クルジャンのラインナップの中には他の名香もたくさんあるので、
ぜひ様々な香りを試すきっかけとなりましたら嬉しく思います。